”A Normal Life , Just Like Walking”

小説書いて、メルマガ出して、文学フリマで売る。そんな同人作家皆原旬のブログ

G線上の魔王はカテゴリーオーバーな作品<感想に付きネタバレ御免>

18禁のPCゲーム「G線上の魔王」はカテゴリーオーバーな作品だと忘れないように書いておく。
18禁のPCゲームにしては性的なカタルシスは得づらい作品である。
シーンよりストーリー重視で性的シーンが少ないこともあるが、考え抜かれた演出によって、
物語のドラマチックさにいやがおうなく引き込まれてしまうからであり、
殺人犯の息子という主人公の苦悶の深さがよりSEXシーンのカタルシスを深めるが、深いが故にのめり込めきれなかった。
この感覚はハリウッド映画的展開と揶揄される、好きだからSEXするよねな展開がすんなりと入れた、入りすぎたからだろう。
陰謀のために私はと言うヒロインと、極道に片足をつっこんで悪にあこがれる主人公が、
彗星と惑星のごとくすれ違いの一瞬激しく光るかのように訪れる危機と奇跡は古典的であるが、
見せ方は同時代的なセンスにあふれている。テロリスト、少年犯罪、癒し系、陰謀、精神分析などなど。


そしてPCゲームだからできるという点は非常にすばらしく残念な点だ。
比較的ゲームとしては古典的となっているPCノベル形式(1995年位にはもうあった)は、
画像、音声、文字のみで構成されており、時代遅れと言われる形式だ。
しかし、映像作品では多用できない独白が使いやすいため、心理描写に優れ、
小説形式では冗長となりがちなキャストの味付けが画像、音声を使って行えるので、
物語の手早い展開が容易となる。キャラを立てるのは小説でも常識となりつつあるものの、
ヒロインの長髪を普通にしているときと、謎解きをしているときとで描き分けるのはPCノベルならでは。
ミステリ要素は若干粗め。伏線が浮いてしまうところが散見されました。
メインテーマとは関係ないので大目に見るしかないのかな。
怪人20面相対明智探偵的な展開はありがちだけどすごく燃えました。


個人的にすばらしいのは、脇役にもちゃんと声が入れてあること。
(名前のあるキャストはほぼしゃべります)
物語をおざなりにしない意気込みがひしひし感じられます。


女性でもおすすめされたら、やってみてほしいとあえて言いたい。


いかにも好きそうな属性な人の薦めって、偏見を持って迎えがちだけれど、
媒体だけで判断せずに提案を受け入れる(金銭的・時間的)余裕があれば、
是非と思うのでした。