”A Normal Life , Just Like Walking”

小説書いて、メルマガ出して、文学フリマで売る。そんな同人作家皆原旬のブログ

すこし FUSHIGI

既刊再掲「すこし FUSHIGI」【4回目】(終)

「すこし FUSHIGI」【4回目】(終) 理恵には簡単なことだった。薬を切らすのは規定違反だが、20世紀末の日本で、それも過疎がきびしい片田舎で見舞われる危険なんてない。先生はそういって笑っていたっけ。でも、ルールはルールだから、用が済んだ…

既刊再掲「すこし FUSHIGI」【3回目】

「すこし FUSHIGI」【3回目】 恵一の母は、自宅でまだ料理をしていた。祖母の「じいさんが好きだった鯛の蒸し物」のリクエストに応えるべく、近くの料理上手に料理をおそわっていた。昼に合わせて作っていたのでさすがに調理はほぼおわっていた。 「…

既刊再掲「すこし FUSHIGI」【2回目】

「すこし FUSHIGI」【2回目】 高知駅に着いたのは、朝7時45分をまわった所だった。天気は快晴、すでに、日差しが手の甲を刺すように照りつけている。肌には厳しいが、暑いといっても東京とはすごしやすさが違う。東京は熱気が体にまとわりつく感…

既刊再掲「すこし FUSHIGI」【1回目】

「すこし FUSHIGI」【1回目】 夜行の高速バス、東京八重洲発ー高知駅行き、消灯間際の車内で、男は眠っていた。その前どなりの席には、今し方初めて会ったばかりの少女も、眠っていた。 少女のバス代を青年が出したのは、本意ではなかった。が、夜行…